2012年1月27日金曜日

航空材料学のテストのために作ったメモ

なんとなくテストのためにつくったメモをのっけとく.参考文献もちゃんと書いておけば良かった.


■アルミニウム合金と同様な性質を示すほかの金属 
銅 マグネシウム(?)

■航空機主翼はその航空力学の観点から上下面でアルミニウム合金の種類を変えている.その理由.
主翼に作用する曲げによって主翼上面には圧縮応力がかかるため,圧縮応力につよい7075-T6合金を使用する.一方主翼下面には,繰り返しの引っ張り応力がかかるため疲労強度の強い2024-T3合金を使用している.

■鉄鋼,アルミニウム,マグネシウム,チタンなどを軟化する方法
やきなまし,

■ショットピーニング
 材料に微細な粒子を高速度で打ち付けること.その結果,表面は加工硬化し残留応力が残ることによって疲労強度が増す.

■ケミカルミーリング
 機械加工によらず,化学的な浸食により金属をそぎ落とす加工方法.機械加工でないことよりひずまない.(具体的には酸性の液体を塗布してAlを溶かしている.)

■異種間金属腐食の防止法
 金属間に複合材料を挟む.イオン化傾向の違う金属をくっつけない.
(異種間金属腐食:イオン化傾向の違いによって局部電池を作って腐食が始まること.)

■航空機用の高温用タービンブレードは単結晶材が使用され始めている理由.
 タービンブレードはつねに高温かつ強い引っ張り応力下にさらされる.そのような状況下で結晶粒界が存在するとそこからクリープ割れ,破壊が生じる.それを防ぐために結晶粒界のない単結晶材が使用され始めている.

■高温特性が高いのは
 γプライム相に対応し,NiAlの割合が3:1になったとき.

safe life設計とfail safe設計
 Safe life 設計:安全寿命の間は疲労損傷しないように十分な強度を持たせた設計
 Fail safe設計:構造の一部が破損しても,それを発見して修理するまでは安全に飛べる強度が残るようにした設計.
■機内の湿度が低くなっている理由(応力腐食割れ)
金属が応力状態で腐食環境に置かれた場合,急速に腐食が進行し,割れが発生してしまう.飛行機は上空にいるときに内圧と外圧の差のために胴体は引張下にある.そこで湿度が高いと腐食が進行してしまう,それを防ぐために湿度をさげている.

■タービンブレード
高温部 高温で強度が高いγプライム(Ni3AlNiAlTi
低音部 Ti
チタンは金属の中で最も比強度が高く熱膨張係数が小さい,耐食性がよいため.
無機塩の単結晶は次のようにして作ることができる。まず、溶質を溶媒に溶かして溶液を調製する。この溶液をゆっくりと冷却するか、徐々に溶媒を蒸発させると結晶が発生・成長する。この際、冷却や蒸発が速すぎると多結晶や双晶となりやすい。小結晶を種として入れておき、結晶化を促進させることもある。半導体シリコンの単結晶の製造では既にそれまでに作った単結晶の小片を種結晶として使用し、るつぼから回転させながら微速度で引き上げる。ガスタービンに使用する単結晶ブレードの製造では加熱炉の中の鋳型の内部を溶融金属で満たし、鋳型の基部を水冷しておく。鋳型を微速度で下げることで金属は下から凝固を始めるが、この際、鋳型下部の一部に「セレクタ」と呼ばれる細く絞られた部分があるために、凝固する結晶粒界の内のただ1つだけがこのセレクタ部を経由して結晶が続いたまま成長する。このため鋳型の本体部分はすべて単結晶で構成されることになる

■高力アルミニウム合金(20247075)は強度を重視しているために耐食性に劣るといわれている.この腐食を防止する方法.
 Alまたは耐食性の良いAl合金をこれらの表面に薄く張り合わせる.Alは表面に緻密な酸化被膜を形成し,腐食の進行を食い止める.またAlCrや少量のMnを入れると耐食性が向上する.よってこれらを表面に張ることで,腐食を防ぐことができる.心材と表材との接着法には鋳造法と圧接法がある.

■人工時効と自然時効(溶体化処理後のアルミニウム合金)
 どちらも時間とともに硬化するが,人工時効のほうが硬化するまでの時間がはやく,適切な温度で時効させれば自然時効の場合よりも強度が高くなる.

■ストレッチ成形
 スプリングバックが少なくなる.


■金属疲労
 金属疲労(きんぞくひろう)は、固体金属材料が力を繰り返し長期間にわたって受けていくうちに、その固体に亀裂が生じたり、強度が落ちたりする現象

■摩擦攪拌接合
 摩擦熱による材料の軟化と塑性流動が接合の基本的な条件になるため,現在のところアルミニウム,マグネシウム,銅のように比較的低い温度で軟化する金属材料,あるいはその合金が主対象となっています。

S45Cのマルテンサイト変態とアルミニウム合金の溶体化処理したものの違い
 S45C900℃以上に加熱後急冷するとマルテンサイト変態を起こし,非常に硬度が高くなる.一方アルミニウム合金を500℃前後に加熱後水焼入れすると直後は物理的性質に大きな変化はないが時間がたつにつれ時効効果が起き,強度が増していく.うまく人工時効を用いれば強度はマルテンサイト変態したS45Cに匹敵するが,S45Cをマルテンサイト変態させるより手間がかかってしまう.

■宇宙航空機
 マグネシウムは電磁波遮断性がよい.

■クリープ
 短時間では塑性変形しないような応力でも長時間一定の応力を加えたままにすると時間の経過とともに塑性変形が進む現象.

2000MPaを超える高強度鋼は使用中に脆性破壊を生じる原因と防止策.
 高温で水素環境に置かれると,水素が鋼の炭素と結合しメタンとなって,粒界などに欠陥をつくり,強度を低下させるのが原因.対策としては適当な温度の炉に一定時間保持して水素を取り出すbaking処理がある.
腐食反応などにより発生した水素が引張応力下で鋼中に拡散するため.防止策としては水素を発生させないように腐食を防止や,個溶水素の排出が考えられる.

■マルエージング鋼
 マルテンサイトをエージングによって,析出硬化させた特殊鋼.強度靱性に優れ,時効硬化によるひずみが少ないが高価なのが欠点


複合材料:二種類以上の素材を人為的に組み合わせて,もとの素材よりもすぐれた性質あるいはまったく新しい性質をもつように創造された材料
樹脂系複合材料:合成または半合成された高分子物質を主原料として,可塑剤,着色剤,安定剤、その他の充填剤を必要に応じて配合させ,精製して得られた固体材料

■航空機にチタンが使用される例.なぜ使用されたか.
 例:タービンブレード
 鋼に比べ軽く,融点が高く,熱膨張係数が小さく,耐食性に強いため.

■ストレッチ成形
・航空機でプレス加工を使わない理由.
大量生産はしない.航空機の場合は金型が大きく,高価であるため.
・ストレッチ成形の長所と短所
長所:スプリングバックが少ない.プレスだと応力集中が生じるのに対し,ストレッチ成形は均等になるので信頼性が高い.
短所:プレス成形にくらべ生産性に劣る.

■宇宙機の材料劣化
・真空による影響
短所から述べると,表面上の原子,分子などが宇宙へ飛んで行ってしまうことによって材料の肉厚が減少する.(事例としては表面をアルミニウム蒸着でコーティングしたものを一年間宇宙に曝露したところ,コーティングの一部が消滅し,原子状酸素が内部に侵入してしまうといったものがある.)また真空であるため,熱伝導,対流の現象がなく冷却するのが大変である.物理的には,物体が振動した場合,空気抵抗がないことから減衰しない.次に長所であるが大気がないことから酸化が起こらない.

・放射線による影響
退色と脆化がある.退色は具体的には白色塗料が黄色化することがあげられる.黄色化することによって放射による温度の上昇が助長されてしまう.脆化は,具体的には太陽電池セルなどの結晶構造の崩壊,半導体素子のイオン化,高分子材料や結晶性材料の脆化があげられる.(125)

・温度サイクルによる影響
宇宙は,対流,伝導による熱の移動はほとんど0であるので,太陽の輻射により太陽光のあたる場所と当たらない場所で350℃程度の温度差が生じてしまう.この温度変化によって材料は熱膨張,収縮を繰り返し疲労してしまう.
■航空機材料に使用される樹脂系複合材料について金属材料と比較したときの短所と長所
・長所(この長所よりコストが削減できる.)
 軽くて強い.
 熱膨張が少なく,寸法安定性に優れており,高音下でも機械的特性の低下がすくない.
 疲労強度が格段にすぐれている. 
・短所
 金属構造と比較し,損傷の評価が困難.特に偶発損傷については,金属構造では,へこみや亀裂を生じるなど明らかで,その範囲も容易に判断できる.複合材料では,剛性が高く外観上変形を生じないまま,内部損傷が発生している場合があり,目視による評価が困難.(損傷評価
 金属材料が修理環境(温度,湿度)を問わないのに対し,実際のエアラインの修理環境は複合材料の修理には不適当な場合が多い.(修理環境
 一般的な金属材料構造の点検・修理技術と比較し,特殊なスキル(非破壊検査,修理スキル)を要する.(修理技術
 金属材料構造の修理と比較して,接着剤の硬化時間など,一般的に修理に時間を要することが多い.損傷発生時の機体のAircraft On Groundの時間が長い.(修理時間
 金属材料構造が,修理後の外観検査で品質保証ができるのに対し,修理プロセスが品質保証上の重要なファクターとなる.(修理品質の保証)

■熱可塑性樹脂
 加熱すると軟化して,温度が下がると固化する.加熱と冷却を繰り返すと軟化と固化を繰り返す.(例:ガム)
■熱硬化性樹脂
 加熱すると一旦流動性のある状態になり,化学反応が進んで,固化する.冷却後は加熱前と異なる構造.再度加熱しても軟化流動しない.(例:たまご)

Ni3Alのような規則的に異種原子が配置した規則合金に転位が生成すると,同じすべり面上にもう1つ対になる転位が生じる理由.

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